あるる 1

気づけば2015年から毎年、夏はアルルにきている。
縁があって【屋久島国際写真展(通称:YPF)】グループ写真展に今年も混ざることができた。
MONSTREというレストランの地下にギャラリーがあり、そこで展示がある。
今年は、アルルフォトフェスティバルのサテライトイベントであるVoies Offへ参加しているので、例年よりお客さんも多いように感じる。

アルルという小さな街はフォトフェスティバルを最初に始めたところで今年で48年目のよう。
正式名称:Les Rencontres de la photographie d’Arlesはヨーロッパで最大級の写真祭でもある。
教会や、操車場跡地などいろんなところが展示会場になり、写真が展示されている。
この時期になると普段は絵画を扱っているような小さいギャラリーも、みな写真を扱うようになる。
街中の壁にもたくさんの写真がゲリラ的に貼られては上書きされていく。

そんな大きいフォトフェスティバルを見るだけでも楽しいが、日本人が目的としてくるのは大体”レビュー”を受けるためじゃないかと思う。
自分の作品をギャラリストやイベントのオーガナイザー、出版社などに見せ、何かチャンスを掴むための会。(のようなもの)
何かのチャンスは得られなくても、普段話さないような人たちと写真について話すことはとても面白く、自分の知らなかった自分が見つかったり、写真の見え方の角度が変わったりする面白い場所だ。

今年は、YPFを通じて知りあったFがレビューを受けにやってきた。
なんと、お父上Pさんと一緒に。
彼らは普段親子で写真館をやっており、今回の作品は撮影がPさん、編成がF。といったものだった。
聞くと英語もフランス語も話せないので通訳を探しているとのこと。

そこへ、たまたま来ていた友人Sが英語が話せるということもあり、通訳として入ることに。
写真部ではあるが幽霊部員で、レビューの存在は今回初めて知ったというS。
突然巻き込まれた事態に動揺しているかと思ったが
「レビューは論文発表と似てますね」と言って面白がっているようだった。
(Sは普段、大学で研究をしている)
大物。

日本にいたら多分集まらないであろう人種がアルルで集い、チームPが結成された。

かくしてギャラリーへの買取を目標に、僕たちの戦いは始まったのだった…

(つづく)

7月12日11:09(木)